先生に連れられてやってきたのは、先生の家だった。

先生は泣きじゃくるあたしをソファーに座らせたあと、その前の机にあったティッシュケースをポイッと投げてくる。


「それで鼻かみな。」

『……。』

「可愛い顔が台無しだぞ。」



先生がおちゃらけた表情で肩をすくめて見せたけど、あたしはそれをスルーした。

今は冗談にのってるような、気分じゃない。



『…知ってる。』



ーー知ってるもん。

あたしが可愛いことなんて。



「愛奈…?」



わかっていた。
自分の顔が他の子たちより可愛いこと。


だからこそ、あたしはそれを最大限に利用してきたし、利用できていたつもりだった。