やっと、4件目の挨拶巡りが終わった。 奥さんの姿が見えなくなった途端、フッとため息をついて笑顔をやめるあたし。 今日、挨拶に行くことになってるのは、両隣と向かい合わせの家、そしてその両隣だから合計5件。 次が、最後だ。 「…次に行きましょうか。」 さっきまで、奥さんと楽しそうに談笑していたくせに。 急に無口になったお母さんを冷たい目で見ながら、あたしは無言で頷いておく。 お母さんも何も言わずに、人差し指でチャイムを押した。