ただ、泣きそうな表情で、あたしを見て。 掴んでいたあたしの左腕を、スゥーッと離す。 何よ、これ。 本気であたしが悪いみたいじゃん…。 『お母さん…。』 何か言ってよ。 謝る気なんて、サラサラないけど。 あたしが謝れるわけないけど。 そんな顔をされたら、罪悪感で埋め尽くされそうになる。 「―――汐留。」 葉が風に揺れるような、控えめに放たれた声だった。 この声を発したのはオカアサンでも、あたしでもない。 いつの間にかそこに立っていたのか、スーパーの袋を左手に持った、 ―…尾崎センセー。