―…優しいけれども激しい、全てを拭い去るような力強い風が吹いた気がした。 「っぅお!」 人気のない廊下の階段近くの曲がり角で、話していたあたしたち。 真下には職員室しかないその階段を、休み時間の中途半端な時間に使う人はほぼいない。 ―…いるとしたら、必ず授業2分前に現れる、あの人だけ。 『っ、先生!?』 あたしの声だけが、静かな廊下に浮き彫りになった気がしたんだ。