お母さん。おかあさん。オカアサン。 …なんとなく、お母さんとは、思えない人。 人1人分の距離を開けながら、あたしはポケットに手を突っ込み、小さく呟いた。 『まあまあ、かな。』 「…そう、ならよかった。」 ……ねえ、そう言って困ったように笑う笑顔が、胡散臭いよ。 そんなお母さんの笑顔を直視しないように、あたしはお母さんから背中を向ける。 …まぁ、普段猫かぶってばかりのあたしが、そんなこと言える資格もないんだけど。