―…授業開始、2分前。 ガラガラっと、荒々しい音を立てて、奴はいつも通り教室に入ってきた。 次は、英語の時間。 『……っ、』 ほぼ無意識に、あたしは開いたその扉を視線で追いかけていて。 行き詰まった呼吸は、かすかに苦しくて。 パチッと、音がしたようにあたしと目があったのは、 …尾崎、センセー。 『…っ!』 バッと、目をそらす。 こんなの、あたしらしくないんだけど。 普段のあたしだったら、ニコッと微笑みかけて点数稼ぎでもするんだけど。 尾崎センセーの目は、なんだか直視できない目だ。