サイドチェストに手を伸ばし、そこに置いているベッドライトを点灯。

 美奈実がメガネをかける前に、梶原が叫んだ。

「ゲッ、すげー時間経ってる」

 時刻は9時ちょっと前だった。

 また時間を忘れて没頭してしまった。

「先生、俺、帰るね」

「あー、うん。そうしなさい」

 先生らしく言うと、梶原はみるみる生徒の姿に戻っていく。

 どうしてこんなに手早いのだろう。

 いつも寝坊して大急ぎで着替えているのだろうか。

 一方美奈実は教師の姿ではなく、愛用の部屋着へと袖を通した。

 ベッドの下に散らばっている服たちは、後で片付けるとしよう。