そして来る、一つになる瞬間。

 玉置は意識しているのかいないのか、息を切らしながらふと優の指に自分の指を絡めてきた。

「先生」

「……なに?」

「欲しい?」

 ピクッと体が震えたのは、優のイタズラのせい。

「欲しくないって言ったら、やめるの?」

 やめないでというテレパシー。

 禁忌の情事へのシンパシー。

「ここでやめられるわけ、ないでしょう」



 春の夜の夢ばかりなる手枕に
 かひなく立たむ名こそをしけれ

 周防内侍


 秋の昼夢ばかりなる手枕も
 かひなく名など立たせたりせん

 梶原優