赤い下着の主


 バカなこと言うなよ。

「忘れられるわけないじゃん」

 優はせめて泣いてしまわないように、湧き上がる感情を抑えながら訴える。

 それでも玉置はただにっこりと笑っていた。

「心配しなくても、ちゃんと忘れられるよ。梶原君の人生は、これからなんだから」

 教師を辞めたくせに、教師らしいことを言う。

 数メートルの隔たりがもどかしい。

 この距離を飛び越えて、抱きしめてしまいたい。

 閉じ込めてしまいたい。

 どこにも行くなと、行くのであれば一緒に行こうと、玉置がうんと言うまで離したくない。

 全てを束縛してしまいたい。