赤い下着の主


「先生……」

 卒業すれば、教師と生徒という呪縛から逃れられると思っていた。

 しかし、一度同じ学び舎で隔てられた関係は、今でも担任の教師を恩師だと思うように、いつまでも教師と生徒なのだと気付く。

「引っ越さないとダメなの?」

 ここにいてよ。

 俺の近くにいてよ。

 卒業して、やっと向き合えると思ったのに。

 少しくらいチャンスをくれよ。

「うん。ちょうど部屋の契約も更新の時期だったし」

「いればいいじゃん、ここに」

「もう遅いし。引越し、ほぼ完了してるから」

 ベランダのフェンスを握る手に力がこもる。