「引っ越すの」 そんなの、見ればわかるさ。 優は寝癖頭のまま、ベランダに身体を預ける。 「そうじゃなくて」 どうしてここを引っ越すの? それだけの質問なのに、上手に言葉を発せなかった。 玉置は手に付けていた軍手を外し、高い位置で縛っている髪の毛を撫でる。 「辞めたの、学校」 「辞めた?」 「そう。あたしには教師、向いてないみたいだから」 卒業した今、玉置が教師であろうがなかろうが、そんなことは関係ない。 知りたいのは、なぜここを引っ越すのかなのだ。