結局この日、玉置に会うことはなかった。
夜からの謝恩会で、原田から
「一緒に撮ってもらったんだ」
と自慢げに見せられた写真で顔を拝んだくらいだった。
デジカメの写真に写る玉置は、眼鏡越しに大きな目をにっこりと細めて足と手をそろえ、背筋を伸ばし上品に立っていた。
今頃は自宅に帰り、サイドチェストに置いてあるディフューザーでアロマを楽しみながら、砂糖とミルクを入れたコーヒーでも飲んでいる頃だろう。
優のカメラには玉置の写真など一枚もないが、玉置のそんな姿を知る者はこの学校に一人もいないのだと思うと優越感に浸ることができた。
そんな優が玉置の異常に気が付いたのは、この日から2週間ほど経った頃だった。



