ペンを動かす梶原は真剣な表情をしていて、普通の高校生のようだった。 とても教師に手を出すような生徒には見えなかった。 ぼんやり見つめていると、その視線に梶原が気付く。 「なに?」 美奈実は頬杖をついたまま 「いいから、この先訳して」 と教師らしく指示を出す。 「あんまり見られると、精神衛生上よろしくないんだけど」 「そんなの気にしてたら負けよ」 「勝ち負けなの?」 「そうよ。たぶん」 「はは、何それ」 うち笑ふ彼、いとうつくし。 惑うけしきさへあはれなり。