赤い下着の主


 梶原をテーブルの前に座らせると、バッグからガサガサと3年の教材を広げた。

 使っている教材は、どうやら源氏物語のようだ。

「紫文」と題された白い表紙の教材は、学園の古典教師たちが好きな章を詰め込んだ学園オリジナルの教材である。

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 君は何心もなく寝たまへるを、抱きおどろかしたまふに、おどろきて、宮の御迎へにおはしたると、寝おびれて思したり。

 御髪かき繕ひなどしたまひて、

「いざ、たまへ。宮の御使にて参り来つるぞ」

 とのたまふに、「あらざりけり」と、あきれて、恐ろしと思ひたれば、

「あな、心憂。まろも同じ人ぞ」

 とて、かき抱きて出でたまへば、大夫、少納言など、

「こは、いかに」

 と聞こゆ。

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