赤い下着の主


 それは、母親に真裏のマンションに住んでいると悟らせないためだ。

 息子の部屋の真向かいに住んでいるとわかれば、彼女だって複雑な気持ちになるに違いない。

 梶原の母は、とても優しそうな母親だった。

 そのDNAは、しっかりと息子に受け継がれている。

 将来を期待して、良い中学に入学させて。

 高校、大学はエスカレーション。

 これからの躍進に、ますます期待をしているのだろう。

 そんな大事な息子を、私は誤った道に引き込んでしまった。

 申し訳ない気持ちが美奈実の胸を傷つけ出す。