優は椅子の背もたれに体を預けながら、高澤の話に全神経を集中させた。
「職員室から二階を眺めるようになった」
「……は?」
「わかるだろ。二階、つまり三年生の教室をぼんやり眺めるようになったってことだよ」
こいつ、先生をよく見てやがる。
ストーカーみたいでちょっとキモい。
「つまり、玉置先生が、俺を探してるって言いたいんですか?」
まさか、そんなわけないでしょ。
というニュアンスを醸し出す。
というより、本当にまさかと思っている。
玉置が学校で自分を意識しているなんて。
少しでも自分のことを考えてくれたら嬉しいと思っていたけれど、クールで大人の女である玉置には、自分のことなんて全く目に入っていないと思っていた。



