そのうち温かいブラックのコーヒーが入って、ベッドのそばのテーブルに落ち着く。

 カップに口付けた玉置の眼鏡が湯気で曇った。

 思えばこの部屋に来るとベッドに潜り込んでばかりだったから、こうして落ち着くのは新鮮でドキドキする。

 彼女が淹れたコーヒーがうまい。

 今更大人の女性の部屋の雰囲気に堪えきれなくなった優は、あえてこんな話をすることにした。

「先生」

「なに?」

「古典ってどうしたら起きてられますか?」