だけど、今日はそううまくコトが運ばなかった。

「ダーメ」

 いつになく甘えた声に、やられてしまった。

 隙を突かれた優は両頬を冷たい手で押さえ込まれ、玉置が優の拘束から抜け出した。

「むーっ」

 顔を潰されたまま情けない声を出すと、楽しそうに玉置が笑う。

「ほら、入るなら靴脱いで。お茶でも淹れるから手を洗って」

 学校ではまず見れない笑顔。

 まず聞けない明るい声。

 優は浮かれて素直に言うことを聞く。