目の前に彼女がいると、正気を失ってしまう。

 隣に並ぶと触れたくなってしまう。

 顔を見るとからかいたくなってしまう。

 二人きりになるとキスをしてしまう。

 それも、玄関の扉が閉まる前に。

 そうしていると、いよいよ理性たるものが姿を消し、今度はまだ靴も脱いでいないのに玉置を押し倒す。

 もっともっとくっつきたくて、いっそのこと一つになってしまいたくて。

 会うたびにこんなことばかりして、嫌われないだろうかという不安が初めはあるのだが、理性に分類されるそんな気持ちは彼女の色っぽい声を聞くとどんどん小さくなっていってしまう。