「ねぇ、先生」

「なに?」

「手、繋いでいい?」

「だーめ」

「じゃあ、チューしていい?」

「ここで?」

「ここじゃなかったら良いんだ」

「なっ……」

 相変わらず彼は策士で、美奈実はすぐ彼の罠にかかってしまう。

「可愛い。先生、世界一可愛い」

 照れるのを隠すことさえできない。

「もうっ! バカッ!」

 ドキドキして心地良い。

 フワフワして体も軽い。

 さも当然のように美奈実の部屋までついてきた梶原は、ドアに鍵を挿した時点で美奈実の体に巻き付いていた。