「驚いた。先生がこっち見てるから」
「私だって、窓まで開けるから驚いちゃった」
澄んだ空気から伝わる、梶原の優しい声。
「どうしてこっち見てたの?」
あなたに会いたくて。
なんて言ったら、きっと笑われる。
「星がきれいだからよ」
見上げると梶原家の屋根越しに冬の星座が見えた。
残念ながらオリオン座の下の方は家で隠れてしまっている。
「こっちからは見えないや」
そりゃそうだ。
このマンションは5階建てだ。
「ねえ、先生。冬の大六角形って知ってる?」
「なに? 星座の話?」
「うん」
地学に疎い美奈実は首を横に振った。



