「ほら、早く読まないと時間がもったいない」 そう言って自分が持ってきたマンガを広げた。 優香もそれに倣ってマンガを広げる。 この日二人が最も接近したのはこの時間だった。 「今日、楽しかったぁ」 「ああ、俺も」 「またね~、まさるくん」 帰り際、優香は笑顔でこう言って、軽い足取りで反対側ホームへと降りていった。 結果としては、何もなかった。 高校生らしい、清く正しいデートだった。 時刻はまだ午後6時。 しかし歩きすぎて足が悲鳴を上げそうだ。 優はまっすぐ帰るつもりで電車へ乗り込んだ。