好きだと思ったら、涙が溢れてきた。

“あなたが好き”って、

その腕の中に飛び込めたらどんなにいいだろう。

でも、できない。



涙がバレないようにそっと下を向いて、

タクさんの腕を離した。

これでいいんだよね…

そして下を向いたまま言う。

「すみません、お薬ありがとうって言わなきゃと思って腕掴んじゃいました」

そろそろ涙はかわいたかな。

タクさんの顔を見ようと、

恐る恐る目線を上げた。






瞬間、あたしはタクさんの腕の中にいた。

何が起こったのかわからなくて、

「え?」と声を出す…はずが、強く抱きしめられているせいで「むが?」になってしまった。

恥ずかしい!

いやいや、それも恥ずかしいけど、

なんで?

なんであたしこんな状態なの?