なあ秋本。 あの頃、1996年当時の俺は“好き”を軽く見ていたのかもしれない。 単純に好きと言えば相手に伝わるものだと思っていた、その好意は。 なかなか相手に伝わらなくてやきもきしていた、その好意は。 子供ながら発していた好きは、 子供ながら伝えていた好きは、 子供ながら抱いていた好きは、 本当の意味で重みがあったんだな。 ―――…1996年のお前を好きになった俺は、2011年のお前にもきっと好意を寄せている。 だからお前に好きとは、もう言えない。