上流へ向かうと、比較的川幅の短い箇所があった。

先頭の海里が立ち止まると、後ろの班員も歩みを止める。

だが、サワと将樹の談笑は、変わらずに続いていた。


あの丘の上と、同じ状況。


海里は、俺だってラリーは面倒なのに、と、なんだか情けなくなる。

面倒なラリーは、なるべく楽に済ませたい。

行かなきゃならないから、歩きはする。
でも、地図を読んだり、どんなルートで行くかは、他人に任せておけばいい。

自分は、ただ歩くだけ。

やらなくても済むことは、しない。


海里も、できればそうしたかった。

ただ、全員がそれではラリーが成り立たないから、仕方なく先頭に立ち、地図を片手に道を模索しているだけ。


面倒事を引き受けた海里。

海里の苦労など素知らぬ振りで、協力はおろか参加しない班員。

海里は苛立つ。