海里の対角線上の席には、よく喋る女子がいた。

よく通る高い声が、海里の耳をたたく。

「あたしの名前はー、秋川サワ。

巻校出身。

そうそう、平子ちゃんも巻校だよね!

同じ班になるとか、嬉しい~」

秋川サワが、隣の席に座っている、天然パーマの女子に笑顔を向ける。

だが、うつむきながら自己紹介を聞いていたパーマの女子は、驚いたように

「えっ、ああ、うん」

と、あいまいに頷いただけだった。


……あの2人、合宿に来るまではたいして仲良くなかったんだろうな、と海里は横目で2人をうかがう。