少年は、入学当初から、クラスメートと馴染めずにいた。
それというのも、少年が「雑談」ができなかったことに原因がある。
少年には、
なぜ他の子が、授業中にも休み時間にも話しかけてくるのか、
なぜ、好きなキャラクターの話を聞かなければならないのか、
分からなかった。
分からなかったので、少年は、話しかけられる度に
「うるさい」
と言っていた。
それじゃダメだったんだ、と、
池から苦労して出ながら、少年は思う。
それ以来、少年は、話しかけられれば相槌を打ち、愛想笑いの一つも浮かべて、相手の気の済むまで付き合うようになる。
こうして少年は、処世術を一つ、身に付けた。



