人心は、木漏れ日に似る



海里の視界に、鮮やかによみがえる情景。


5月の、ある昼休み。

小学校の中庭は、すっかり静まりかえっていた。


少年は、中庭にある池から顔を出し、辺りを見回す。

池の周りにいる子は、皆、わざとらしく少年に背を向けていた。

その様子を見て、少年は確信する。

――突き落とされたんだ。


少年の背には、手の平の感触が残っている。

乾いた目の代わりに、長い前髪から、水が滴った。