人心は、木漏れ日に似る

川は細いが、流れが速い。

灰色に泡立つ川面からは、深さが読み取れず、海里は少し、躊躇した。

だが、上流や下流を見渡しても、格別渡りやすそうな所は無い。

――仕方ない、か。


ざぱ、と海里は川に足を踏み入れた。

途端に、靴の中へ水が染み込み、不快な感触が足先を覆う。

海里は眉をしかめ、それでも一歩、足を踏み出す。