「で?
次のポイントは?」

秋川サワが、腰に手でも当てそうな勢いで、聞いた。

人をせっつく、キンキンしたうるさい音。


そんなに次のポイントが知りたいなら、秋川が自分で地図を見て、考えればいいと海里は思う。

もちろん、「分からないから聞いてるのよ」と言われるのは分かり切っていることだ。

秋川サワは仕切り屋で、当然のように人を使う。
廃屋探険を将樹にやらせたのも、サワだった。


「所詮お前は、自分が良ければ、他人はどうでもいいんだよな」

「何?
海里って、ぼそぼそ言うから聞こえない」

「別に。なんでもない」


自分以外は、全て他人。

他人の痛みなんて、結局は他人事だ。
それは、サワに限ったことではない。

海里自身も、他人が傷付こうが、言いたいことは言う。


所詮、皆、自分以外は全て他人。

だが、海里は、自分の利益しか考えない者の指示を聞く気には、なかなかなれなかった。