人心は、木漏れ日に似る

厚く積もったほこりに、二人分の足跡がつく。

年期のはいった窓ガラスは、光をほとんど通さないので、廃屋の中は薄暗かった。


「うっわ、ありえねー。

こんな所にいたら、絶対肺炎になるぜ」

廃屋の中に入るなり、将樹は、やる気のない調子に戻っていた。

「海里、早くポイント見つけろよ。

ヤバいって、窒息する」


そう言って将樹は、行く手をはばむ蜘蛛の巣を、落ちていた棒で払った。


「なんとか言えよ、頼むよ海里。

マジ出たい」

将樹が咳き込んだので、さらにほこりが舞う。


各部屋を確認しながら、海里は無表情に、将樹に聞く。

「……。

女子にモテたくて、そこまでやるわけ」


将樹は、口元を押さえたまま無言で海里を見た。