人心は、木漏れ日に似る

海里は、森沿いに進めば着くであろう、最も位置が分かりやすいポイントに向かって、歩き始めた。

その後ろを、5人の班員がついて行く。


「……なんか、中学生の時の、修学旅行みたい」

嶋根平子が、そっとつぶやく。

海里は、背中でつぶやきを聞きながら、平子が秋川サワと合わなかったのは、無理もないことだ、と思った。

平子は大人しい。
今も、うつむきがちに歩いている。

対して、サワは気が強い。

サワは、平子の歯切れの悪さに付き合うようなタイプではなかった。


海里がのろのろ歩くので、すぐ後ろにいるサワと西城将樹の談笑が、耳に響く。

「将樹、ラリーなんてくだらないって思ってるでしょ」

「てかさー、めんどくせーよな。

こんな歩き回ってさ、筋肉痛になるっつーの」


平子のつぶやきは、談笑に飲み込まれて、跡形も残らない。

海里は足を速めた。