人心は、木漏れ日に似る

海里は、他の班がそれぞれ別の方向に遠のいていくさまを見て、つぶやいた。

「班ごとで、ポイント違うな」


荘田ほのみは、海里のつぶやきを聞き逃さなかった。

「え!?
海里くん、そうなの?」

ほのみのすっとぼけた声につられ、5人の視線が、海里に集まった。


「じゃ……、海里くん。
はい、これ」

遠慮がちに、嶋根平子が海里に地図を突き出す。

「わぁ、海里くん頑張って~」

からかうように言ったのは、畑みかげだ。

「ほら、近いポイント、どこ!?」

秋川サワに詰め寄られ、仕方なく海里は、地図を受け取る。

すっきりとして、単純な地図だった。

線描きの、簡単な地形の合い間に、ポイントが星マークで打たれている。

海里はため息をついて、言った。

「近い、つーか。
楽に行けそうなポイント、でいい?」

「いい!」

班員は、即答である。
念のため、海里は付け加える。

「……そうな、だけど」


「いいから海里、早くしてよ!」