人心は、木漏れ日に似る

しばらく話を振られなかったので、海里は鞄から本を取り出した。

するとすかさず、荘田ほのみが無邪気に身を乗り出す。

「ね、なんて本、読んでるの?」

「邪魔しちゃ悪いだろぉ。

海里は、くだらないことでだべってる俺らとは違って、しっかりしてんだからさ」

「じゃ、班行動の時、頼っちゃおうかな」

そんなこと言われてもな、と海里は思いつつも、適当な相づちを打つ。


合宿は2泊3日。

……どうせ終われば、名前も顔も忘れてしまう。

そう、海里は思った。