「お前さ、嫌いな奴とか、いないわけ?」


海里が尋ねると、ほのみはうーん、と眉を寄せた。

真剣に探しているらしい。

海里は助け船を出すつもりで、さらに続ける。

「嫌いとまでいかなくても、なんか気に障るとか、うざったいとか、イラッとくるとか」


するとほのみは、ああ、と何度も頷いた。


「それならいっぱいいるよ。

それはもう、大勢」


海里は目を見開く。

意外だった。


「……全然、そんな風には見えないけど」


海里が呟くと、ほのみはにっこり笑う。


「やだなぁ、海里君。

人には誰だって好き嫌いがあるんだよ?」