人心は、木漏れ日に似る

冬乃の声は、なんというか、むきだしの声だった。

他人に聞かせるためではない、ただ自分が話すためだけに使う声。

優しさで包む前の、主張と命令の声。


『所詮お前は、自分が良ければ他人はどうでもいいんだよな』


突然よみがえった言葉に、海里は口をつぐむ。


他人の気持ちをかんがみることをせず、好き勝手にものを言う。

……自分も冬乃と変わらない、自分勝手な奴だったのか。