人心は、木漏れ日に似る

江上冬乃は、沖下の指摘に気を悪くした様子もなく、ほのみにキーホルダーの特徴を語り出していた。


「えっとね、色はシルバーで、ガーネットみたいな赤い石がはまってるの。

丸くてね、ちょうど指輪みたいな形をしてる」


ほのみは、うんうんと頷きながら聞いて、冬乃が一呼吸おいた所で尋ねた。

「冬乃ちゃんさ。

もしかして、今までずっと、そのキーホルダー探してたの?」


すると冬乃は、そうだよ、と口をとがらせた。

「ラリーに出る前は、ちゃんと付いてたんだけどね。

だから絶対、外に落ちてるはずでしょ?

だから、班の人にも『キーホルダー無いから探して』って言ったのに、あいつら全員シカトしやがった。

だから仕方なく、私1人で探してたってわけ」


冬乃は、そう愚痴をこぼした。