人心は、木漏れ日に似る

海里の横では、ほのみが、金縛りにでもあったように突っ立っていた。

が、やがて、おずおずと江上冬乃の方へ近付いていく。


「……冬乃ちゃん、確か、何か探してるんだよね。

キーホルダーだっけ?

私も探すからさ、それ、どんなのか教えてくれない?」


すると、冬乃の憮然とした表情が、一瞬で満面の笑みになった。

冬乃は、ぴょん、と茂みを飛び越えると、にこにことほのみへ駆け寄る。

そうして、冬乃は、ほのみにウェストポーチを突き出した。

ファスナーの先に、丸い金具とチェーンが付いている。


「このポーチにつけてたの、私のキーホルダー。

めっちゃキレイなやつ」


「江上さん、説明不足。

もっと見た目を詳しく」

目を輝かせながら話す冬乃に向かって、沖下は茂みを踏み越えながら短く、だが穏やかに告げる。

沖下の落ち着いた態度に、海里は思わず感心してしまった。