人心は、木漏れ日に似る

海里は、優しさや思いやりとは無縁の所で生きてきた。

雑談を嫌がり、班員のあらを探しては、心中で非難してきた。


だが。


「冬乃ちゃん、大丈夫かな……」


海里には、ほのみがまぶしく見える。

単純に他人を心配し、幸せを願って行動できるほのみが、見ていてなんだか暖かく思える。


視界の端から近づいてくる森。

海里は足を踏み出すと、ほのみと並んだ。

ほのみは、海里の立ち位置に気付いたに違いないが、何も言わずにただ微笑んでくれた。

それが、慣れない行為に臨む海里を安心させる。