人心は、木漏れ日に似る

沖下は、30分したら戻りましょう、と告げて、地図を手に歩き出した。

ほのみは沖下のすぐ横へ行き、海里はその後ろを歩く。


「冬乃ちゃん、どこにいるんでしょう」

「どこでしょうね……。

何か気になるものがあって、そこから離れられないでいるのかもしれないけど」


子供か、と海里が突っ込むより早く、ほのみの声が薄闇へ響いた。


「じゃ先生、この森から始めましょう!

暗くなったら、1番危険だから」


海里は口を閉じる。

ほのみの言葉は、江上冬乃を心配するものだった。

それに引き替え自分は、と海里は思う。

江上冬乃を探すと言いながら、沖下とほのみの後ろを、ただ歩いているだけ。