見慣れた天井。この白い点線を何度数えたっけ。
『────マイ、マイっ!』
声がする方を振り向くとそこにはシンの姿。
なんだか久しぶりに顔を見た感じがする。
『なに…してるの?』
シンは咳がひどいから病室に居るはずでしょ?
どうして私の部屋に……?
『マイっ、大丈夫?今風間先生呼んでくるから』
『……お母さん……?』
今どんな状況なのか理解出来ない。ただお母さんが慌てて病室を出て行った事は分かる。
『良かった……本当に良かった』
シンは私の手を握っていた。いつから握っていたのか分からないけど、なんだかずっとこの感触があった気がする。
『………泣いてるの?』
私の頬に流れ落ちる雫。それはシンの目から流れていた。
シンが泣く姿を見たのは初めてで、拭ってあげたいのに点滴が付けられた手は上がらない。
『………なんで……』
話しづらいと思ったら私の口には酸素マスクが付けられていた。
まだ意識が定まらない中、頭はやっと機能し始めてようやく記憶が追い付いてきた。
『私、倒れたんだね……』
それでお母さんが呼ばれてシンもここにいる。
そんなに危ない状態だったのかな?全然覚えてないけど。
『あ、マイ。まだマスク外しちゃ駄目だよ』
『もう平気、ちゃんと息出来るから』
あの時、時間は夜だったはずなのに外が明るい。
シンに聞いたら私は2日間昏睡状態だったらしい。
その間ずっとシンは私の名前を呼び続けてくれたに違いない。だって頭の中にはちゃんと残ってるから。
『心配かけてごめん………それとありがとう』
────ダメだよっ!
あの夢の中で手を引っ張ってくれた人が誰なのかは分からない。
でももし、私がここで死んでしまう運命だったとしたらそれを繋ぎ止めてくれたのは間違いなくシンだと思う。