『私、無神経だったと思う。………あの事。シンの気持ちを考えたら………』
芽生えた罪悪感。どうしてもそれを取り払う事が出来ない。
『何でも話してって言ったのは俺だよ?』
『でも私はっ……』
『俺は嬉しかったよ。マイの本音が聞けて。それに病気の事で同情されるのはマイだって嫌いなはずでしょ?』
───そうだ。私は病気だからって優しくされたり可哀想って思われるのが大嫌い。
私は私なのにどうして病気ばかりに目を向けるのって。
私は今シンに一番嫌な事をしていたのかもしれない。
シンの病気を知って症状を知って、それで私より重かったからシンに同情したんだ。
どんな状況でもシンはシン。
私達の間に重いとか軽いとかそんなのは必要ない
『………ごめん、あ、このごめんはそうゆう意味じゃなくて。その、私が間違ってたっていうかシンとは気を使い合う関係になりたくないから今のは忘れて』
お互い言いたい事が言えなかったら、そんなの私達じゃない。
『はは、うん。分かった。それでその花は何?』
すっかり忘れていたけど私は花を握りしめていたんだった。
『おすそわけ。いい匂いでしょ?』
私は持ってきた花をシンに渡した。
『本当だ、いい香りだね。俺の部屋に花瓶ないから看護師さんに言って用意してもらわなきゃ』
────ねぇ、シン。
私はあんたの笑顔を見てるとなんだか涙が出そうになる。
それは同情じゃないよ。ただキラキラとしたシンを見ると同じ時間を生きてるって実感する。
それで思うんだ。時間が止まればいいのにって。