「行くで」


日向が音楽室の扉の取っ手を持ち、ギィィと音をたてて重い扉を開ける。


すると、むっとする湿気のように重い匂いが怜央の鼻腔を刺激した。


4人は音楽室の中に入っていった。


音楽室の中には誰もおらず、ただグランドピアノの周りには赤い三角コーンが二つ置かれていた。


それに加えて、KEEP OUTと書かれた黄色い規制テープに人型のチョークの線。


ここが事件現場なのだとまざまざと見せつけられ、妙な生々しさを感じた。


ゴクリと唾を飲み込む音が音楽室に響き渡る。


血痕のあとも何もない。


荒らされた形跡も、何も。


テレビで言っていたバラの花弁も一枚も落ちていなかった。