制服に着替えてリビングに行くと、美味しそうな匂いが立ち昇っていた。


炊き立てのご飯に焼き鮭にお味噌汁。


プラス卵焼きにミニサラダもある。


旅館の朝食のようなメニューだか、西山家ではこれが定番だ。


ダイニングテーブルに座り、手を合わせて「いただきます」と言った。


茜の父親は通勤に時間がかかるのでもう出発してしまっている。


これも、いつものことだ。


茜の母親が食い入るようにテレビを見ていた。


茜はお味噌汁を口に運びながら、母親が真剣な眼差しで見ているテレビ画面に目を移した。


コメンテーターが険しい顔つきで長々と喋っている。


茜は途中から見たので、何について話しているかさっぱり分からなかった。


「茜」


母親がコメンテーターと同じく険しい顔で振り返った。


「なに?」


「この近くで次々と行方不明者が出ているんですって。気をつけてね」


「うん。生徒会の仕事もないようなものだし、早く帰るようにするね」