茜は複雑な心境で体育館の壇上に上がる怜央の後ろ姿を見ていた。


成績トップで入学した怜央は新入生代表挨拶を任されていた。


容姿端麗な怜央はただでさえ目立ち、体育館に入るまでに何人の女の子が怜央を見て振り返ったか。


怜央を見て、頬を赤く染める女の子の表情を見るたびに茜は不安で胸が押し潰されそうだった。



(新入生代表挨拶なんてしたら、学校中の女の子が怜央ちゃんを好きになっちゃうよ!

同級生だって不安なのに、上級生の綺麗な女の人が怜央ちゃんを好きになっちゃったら、あたしなんか勝ち目ないに決まってる!)


茜がスタイルのいい綺麗な上級生を見て落ち込んでいるのに対して、怜央は怜央で男子の視線が茜に向く度に苛々していた。