虚ろな記憶を辿る中、沙霧のやわらかい声が聞こえた。


「さて、と…飯にするか。腹減ったろ」

そう言われれば、思い出したようにお腹が空いてくる。

小さく頷くと、彼はドアを開けながら聞こえないぐらい小声で呟いた。


「こんな空の下で死んでいくなんて、俺は御免だ」

部屋の四隅まで届かないようなその言葉は、私の耳にはしっかりと届いた。



青い空さえあれば―――。