それはたった一瞬の、



沙霧の呟きが、断続的に部屋に反響する。

「死にたくねぇ。怖ぇ。毎日神経がすり減っていくみたいだ。
すり減っていった神経がゼロになる時が来るんじゃないかって、本気で思う」

バカみたいだろ、と苦笑する彼に精一杯首を横に振ることで答える。


泣いても現状が変わる訳ではないことを知っている。

母さんがいなくなった時だってそうだった。

それを知っている私がここで泣く訳にはいかない。


「…もうひとつ、藍火に聞いて欲しいことがあるんだ」

「うん、何」


「ここにいる全員が何かを抱えてる。柊の言うとおりだ」

喉の奥に栓をされたように、言葉がつっかえる。