「藍火」

よもぎちゃんの手が私のそれと重なる。

柔らかな重みに手を開くと、そこにはあの日2人で選んで買ったヘアピンがあった。


あの時はよく考えずに指差したけれど、よく見るとそれには5つの星が飾られていた。

色も形もバラバラで、でもそれがここにいるみんなの姿をそのまま形にしているようだった。


「え、これ…」

「藍火のために、選んで買ったの」

彼女が呟く。
だとしたら私はあの時、自分へのプレゼントを自分で選んだのか。

恥ずかしさに顔が熱くなる。


「時々でいいから、私たちのことを思い出して」

「…待って。どういうこと?」

世界が、また歪む。