一瞬、本当に一瞬だけ。 辺りの景色が、砂嵐のように歪んで見えた。 「あなたは私たちを、本当によくわかってくれた」 「当たり前だよ」 最初は何もわからなかった。 わからないことが怖くて、踏み込めずにいた。 私はここに乱入してきた異質なもの。 そう思い込んでうわべだけで関わろうとした。 だけど思い出したの。 ――わからないから、知るんだよ。 そう言った父さんの言葉を。