そしてよもぎちゃんは泣いているのか笑っているのかわからないぐらい、顔をくしゃくしゃにしていた。 「ねぇ、よもぎちゃん。もう敬語なんて必要ないんだよ」 美しい敬語、優雅な物腰。 それこそが彼女が作っていた壁だったのかもしれない。 「ここは、そのままの自分が許される場所なんだから」 彼女が大きく頷く。 今まで見たどれよりも、華やかで楽しそうな満面の笑みで。 「ありがとう藍火。本当に本当に、ありがとう。あなたを選んでよかった」 「え…?」